ゲンゴロウのロレーヌ日記

くまのゲンゴロウが,ロレーヌ地方の町メッスに留学しました。

世界遺産の街,ロンウィ

こんにちは,ゲンゴロウです。

今,ロレーヌ大学は1週間のバカンス。時間を持て余したぼくは,思いつきでバスに飛び乗りました。

 

遮るもの一つない平原を横切って,目指すは世界遺産の街,ロンウィ。ルクセンブルク国境にある小都市です。

 

ロンウィが世界遺産となった理由は,街全体が一つの要塞と化しているうえ,その設計者がヴォーバンという名高い技師であったことによります。ただ,駅と街は随分離れています。

 

この街は大国間の領土争いの舞台でした。そのため,当然ながら,人々は守るに固く,攻めるに困難な高所に住みました。そんなわけで,要塞を見学しようとすると,駅から急峻な坂を徒歩で登らねばなりません。

 

ようやく坂を登りきったところで,世界遺産の案内板が,観光客を迎えてくれます。ヴォーバンが造った要塞は,フランス全土にあり,この地方ではブザンソンにも,存在しています。

 

要塞入り口にあるのは,第一次世界大戦死者の慰霊碑。ヘルメットや手榴弾,背嚢などのモチーフが彫り込まれています。

 

そこから橋を渡って,要塞内部に入ります。ちなみに上空から見ると,籠城戦に備えた六角形をしています。そう,函館の五稜郭と同じ思想に基づいて設計されているんです。

 

この門はフランス門と名付けられ,ルイ14世の時代に造られたとの由。周囲は深く広い堀に囲まれて,攻め手を容易には寄せ付けません。

 

城塞の内部に入ると,そこがロンウィの中心街。目抜き通りを闊歩しつつ,美味しいレストランで昼食を取ろうと,メニューをチェック。

 

この日は朝食抜きできたものですから,ガッツリ食べたい気分。そこで,地元産の牛のリブロースステーキ300グラム強のワンプレートランチをセレクト。焼き方はもちろんレア(フランス語ではsaignant。血がしたたる,の意)。お値段は19ユーロ。

 

すっかり満腹で,気分も良くなったぼくは,ロンウィの街を散策。お昼時のせいか,誰もいない静かな街を,ひとり孤独に見学します。

 

すると,奇妙なオリジナル・マスコットに声をかけられました。彼はサッシ屋さんのイメージキャラクターで,日本の相撲取りがモデル。けっこう廻しもリアルに決まっていました。

 

街の中心部にある教会。この塔は,かつては三重塔だったのですが,戦争で破壊されて,今は二重の塔。面白いのは,正面の壁に刻まれた日時計。我々のイメージする日時計とは違う,オリエンタル様式です。

 

説明によると,フランス革命や普仏戦争,第一次世界大戦で,幾度も破壊されたのですが,そのたびごとに蘇り,今に至っています。そのせいか,静謐でありながら,どこか悲しくも,力強い雰囲気を漂わせた教会です。

 

帰りのバスまで時間があるので,公園でお昼寝。こんな風に,ふと思い立ってのバス旅行も乙なものだと思いました。また,お便りします。