こんにちは,ゲンゴロウです。またまたご無沙汰してしまいました。みなさん,お元気ですか。
フランスには「文化遺産の日」という催し物があります。その日は歴史的建造物や美術館・博物館が無料で一般市民に開放されます。今年のメッスは9月16日と17日でした。
ぼくが最初に訪ねたのは,ヨーロッパ建設の父ロベール・シューマン記念館。メッスからバスで20分ほどの小村シー=シャゼルに所在しています。
シューマンは第二次世界大戦後,独仏和解のために尽力し,ECCを構想した人物のひとり。
その彼が晩年を過ごした家が博物館となっています。ちなみに彼は,第二次世界大戦後,連合軍に接収された日本人コレクターの美術品の返還にも尽力。その功績を称え,日本の勲章が授与されました。
博物館の正面には,シューマンが葬られている教会。
ヨーロッパ建設の父に相応しく,墓標にはEUやEU諸国の旗が飾られていました。
その後はメッスに戻って,テンプル騎士団の塔を訪問。通常は内部見学不可なのですが,この日に限っては無料公開。
滅多に門を開かぬためか,内部の壁画は驚くほど色彩豊かに保たれています。
描かれているのは天使や聖人,あるいは聖書の1場面。これは最後の晩餐。手前に跪いているのがイスカリオテのユダ。
こちらは東方の三博士のベツレヘム訪問。イエスの誕生を寿ぐ場面です。
メッスを離れる前に,テンプル騎士団の繁栄を偲びたいと思っていたので,壮麗な塔の内部が見学できて大満足。
そこから市庁舎へ。かつては貴族の館だったらしいのですが,それを公官庁に転用するのがフランス流。
普段は特殊事情がないかぎり見学不可。でもこの日は特別。豪奢に装飾された階段を登って2階フロアまで訪れることができます。
2階に彫り込まれた彫像は,正義(La Justice)と思慮(La Prudence)。前者は目隠しして剣を持ち,後者は鏡を手に,蛇を身にまとっています。
この日は民族衣装を着て街を練り歩く人たち。アルザスの農婦や,三銃士風の剣士と出会えます。
市庁舎の窓から覗くサン=テチエンヌ大聖堂。この聖堂の塔は,高名なランスやアミアンのそれに次ぐ高さとの由。
見慣れたはずの大聖堂が,なぜか今日はとても美しく見えます。それはあと数日でこの街を離れるからでしょうか。また,お便りします。