ゲンゴロウのロレーヌ日記

くまのゲンゴロウが,ロレーヌ地方の町メッスに留学しました。

クールドール美術館

こんにちは、ゲンゴロウです。

メッスは春真っ盛り。あちらこちらで花が咲き乱れています。

 

ちょっと花の冠をかぶってみました。とてもいい香りのする花ですが、名前がわかりません。ご存じの方、ご一報ください。

 

本日、ご案内するメッスの観光名所は「クールドール美術館」。窓に書かれた「GRATUIT」の文字がご覧いただけますか? これ、無料、の意味です。つまり、タダで見学できる美術館。

 

以前申し上げたように、メッスはローマ時代から交易の要所であり、またゲルマン人に対する前線基地として、大変に栄えた街でした。この美術館の立っている場所も、かつてはローマ人の公衆浴場でした。

 

この街のいたる所にあったレリーフや彫像も、数多く収蔵され、往時のメッスの賑わいを彷彿させてくれます。

 

中には当時の生活を描いたものも数多くあります。大工さんやミュージシャン、漁師さんまでいます。ローマ帝国の繁栄ぶりには、驚かされます。

 

ローマ人の日常生活を彩ったガラス製の食器。今でも商品として十分に通用しそうなほど、造形の美しさにあふれています。

 

現在はメッスの郊外として発展しているサブロン地区。ここはローマ時代には、葬送の地でした。そこで発掘された銅製の棺です。

 

インパクトがあるのは、当時の宗教生活に関連した彫刻群。ニケの女神像や、ミトラ教のレリーフは圧巻。とりわけ後者は、雄牛の首をかき切るミトラ神の姿が残酷で美しい。

 

もちろん、美術館の展示はローマ時代にかぎりません。中世キリスト教の遺物や近代美術も数多く収蔵されています。とてもすべては紹介しきれませんので、本日は、キリスト教関連の展示品をご紹介。

 

マリア像を見ても、当時の民衆の素朴な信仰が現れて、ゲンゴロウは結構感動しました。特にベッドに横たわって死を迎える聖母の姿は、見る者の共感を誘います。

 

面白いのは、当時の修道院の天井画。変な動物(?)がたくさん描かれていますが、これは当時の画家が、海の生き物を実際に見ることが出来なかったため、名前からその姿を想像して描いたものです。

 

たとえば、タツノオトシゴは、フランス語で「海の馬」と呼ばれますので、画家は魚と馬の合体生物を想像しました。

 

フランス語で「猫魚」といえば、何を指すか、ご存知ですか? じつは「ナマズ」の意。だから画家が想像したのは猫と魚のキマイラ。

 

では「海の象さん」は? これはゾウアザラシ。それにしても、本当に絵のような生物がいたら、ちょっと面白いですね。

 

美術館を出て、明るい日差しの下を散歩していると、御室桜に出会いました。ここは京都かと錯覚してしまいます。

 

桜吹雪の中を、ひとり歩くゲンゴロウ。桜には着物がよく似合う。また、お便りします。