ゲンゴロウのロレーヌ日記

くまのゲンゴロウが,ロレーヌ地方の町メッスに留学しました。

ヴェルレーヌの生家

こんにちは,ゲンゴロウです。

散歩の帰りに,見かけた銅像。

 

よく見ると,これがあの「秋の歌」の詩人ヴェルレーヌの銅像でした。

先日申し上げたように,彼はこのメッスの出身。

 

そこで調べてみると,自宅のすぐ近くに彼の生家があると判明。

予約すれば見学可能と聞き,さっそくアクセス。

 

10月30日の2時30分に予約したのですが,この日はまさに夏時間から冬時間に切り替わる日。2時半に到着したところ,じつはまだ1時半であることが判明。

しょうがないので,おじさんとレバノン料理を食べて時間を潰しました。

 

レバノン料理といえば,かのファラフェル。ひよこ豆を潰して揚げたコロッケです。

ぼくはベジタリアンのファラフェルセット。

おじさんは一番高いベイルートセット。牛肉をふんだんに用いた高カロリーな食事です。

 

添え物はパンの代わりにクレープのようなもので,これに包んで食します。

見た目には少なく見えますが,実際にはお腹いっぱい。

ヴェルレーヌの生家見学前に,すでにふたりとも眠たくなってしまいました。

 

でも予約をとった以上,行かないわけには参りません。

重い扉を押し開けて,建物の中に入ります。

まずは立派な共有の玄関。

 

そこでは詩人の巨大なマスクがお出迎え。

1940年に代表作『叡智』の出版160周年を記念して作成されたらしいです。

 

彼の生家は建物の2階に位置していました。案内してくれたマダムによれば,19世紀のフランスでは,アパートの2階は富裕層が住む階だったそうです。

さっそく内部を見学してみましょう。

 

全部で3部屋のアパート内には,所狭しと詩人の思い出の品が並べられていました。

肖像画や,子供の頃の写真,成績表,乳母車,等々。

 

とりわけインパクトがあったのが,あの毒酒アプサントの飲み道具一式。

角砂糖の上からアルコールを注いで,美しい緑色になったヨモギ酒。

名画『太陽と月に背いて』でも,ランボーと二人して痛飲しておられました。

 

ちなみにランボーとヴェルレーヌは,ファンタン・ラトゥールの絵画で有名。

かしこまったヴェルレーヌと,頬杖をついた不遜なランボーが好対照です。

 

詩人として崇拝の対象でありながら,晩年の生活は不遇そのもの。

パリの裏町で貧しい生活を送りながら,いつも酔いつぶれていたそうです。

 

ゲンゴロウが一番感動したのは,展示室に飾られていた彼の詩。

息子同然にかわいがった青年を病気で失った時の詩篇です。

養子にもらったあの子は禁断の果実。

新鮮に香る樹木と果実には,足を止めてはならなかったのだ。

禁を破った私は,天に罰せられたのだ。

私は,やってはいけない事をしたのだ!

また,お便りします。